「機会損失」と聞くと悪いイメージが強い人が多いんじゃないかなと思います。「チャンス」を逃している訳ですから決していい響きはしないですよね。でも、トレードを行っていくに当たって、この機会損失とはほんとにうまく付き合っていかねばなりません。
本記事では機会損失が必要な理由を軸に、機会損失との付き合い方を解説していきます。
なぜ機会損失が必要なのか?
そもそも機会損失はなぜ起こるのか?
様々な角度からの視点を元に、この際ぜひ機会損失の壁を一緒に超えていきましょう!
機会損失が絶対必要。
まず初めに機会損失のメリット・デメリットを見ていきましょう!
- 資産は変わらない
- 増えたはずの利益が増えない
- メンタル面に悪影響(後悔・自戒)
- ポジポジ病予備軍になる
案の定、メリットはこれだけかというくらい見当たりません。
その上デメリット一つ一つが身に染みるものばかりです。
なのになぜ機会損失が「必要」なのか。
次はもう少し異なる視点から掘り下げていきましょう。
トレードにおける損失の最大要因は?
オーバートレードについて
トレードにおける損失は、大なり小なり皆さんもたくさんしてきたと思います。
その中でじゃあ、何が最も損失たる損失に直結しているか。考えたことはありますか?
ある人は損切りを先延ばしにし、とある大暴落をきっかけに大損切りをしたでしょう。ですが損切りを根拠なく先延ばしにしたり、切るべきところで切れていないのは厳しい言い方ですが論外です。
ここでお話しするのはこれらが当然のこととしてできた上で最も多い損失。
結論からいうと、オーバートレード(取引過剰)によるものです。
人はトレードがある程度慣れてくる、利益が出るタイミングがわかってくるとひたすら「チャンス」を探しにいきます。「この通貨ペアでダメだったから今度はドル円で探すか、、ドル円も微妙だけど下位足でならチャンスあるかも!」といった感じにどんどんどんどん、自分のエントリーチャンスなるものを目掛けてひたすら四方八方、縦横無尽にチャート分析を行います。結果どうなるか。思った以上になんか損失の方が多い。いつもよりなんか調子悪い。のような損益に直結してしまいます。
どうして損失に傾いてしまうかというと、オーバートレードにより一つ一つの取引の精度が落ちているからです。
「いやいや、ちゃんと自分の手法通りやってるって。」
たぶんこう主張する人は自分の手法通りやっていると思います。でも損失が多くなる。これは一体何故なのか。
これは取引の横軸を意識していないからに尽きます。「横軸」というのは時間帯や時間のことです。この横軸がもたらす要因は何かというと、率直に、ボラティリティの変化、値動きの収束と拡大についてです。「昨日より今日、なんかよく動くなあ。」とか、「なんか今日はしみったれた動きで鈍いなあ。」とか。全てこの「横軸」が関わっているのです。手法通りやっている。で損失が多くなる人には、おそらくこの「横軸」が手法に組み込まれていないのだと思います。またこの辺りの解説については別記事でお話しします。
話を戻しますと、オーバートレードによる取引精度の低下についてです。
どうして精度が低下するかは主に疲労による分析力の低下が多いのと、先程の横軸の概念がずれてくることが関わっています。
当たり前ですが研鑽を重ねたトレードのみが長期的に利益として残るものになるので、精度が低下したら、どんな手法であれ使い物にまるでなりません。
ではオーバートレードはなぜ起こるのか?
これこそ本記事のタイトル、機会損失をしたくないからですよね。
せっかく自分のスタイルも固まってきていざFXで勝つ方法をもっているのに、勿体ぶって使わないなんてことないと思います。利益を上げたい一心で必死に分析して、全身全霊でチャンスを逃さないアンテナを張っていると思います。素敵だと思います。
ですが、皮肉なことにこれらはオーバートレードとして裏目に出てしまうことが多いのです。
そして本記事で最も伝えたいことを今から言います。
オーバートレードを防ぐには機会損失しかありません。
チャンスをあえて逃す。そして次の取引の精度を上げる。
これに尽きます。
これが利益を上げ続けるためには必須項目となり得るのです。
トレードルールの再確認
さて、機会損失、オーバートレードと見てきましたがここで一旦整理します。
トレードルールの再確認を行いましょう。
「オーバートレードを機会損失で防ぐ」具体的な対策について。以下の項目で自分のトレードルールをチェックするのがお勧めです。
- エントリー基準
- トレード回数
- リスク許容度
エントリー基準
エントリー基準によるオーバートレードの予防効果はやや低めです。
しかし、エントリー時の基準をしっかりと設けることで、ある程度(体感的に半分くらい)は防げます。
- テクニカルサイン
- ファンダメンタルサイン
- 需給的なサイン
- その他マーケットのサイン
これら全てを満たす必要はないですが、多くの場合はテクニカルのみでのサインで判断することが多いでしょう。
そのテクニカル上で意識して欲しいのはやはり、MTF(マルチタイムフレーム)分析です。
上位足からフラクタル状に分析していって、自分のトレードの軸足まで落とす。逆に、自分の軸足から逆フラクタル状に分析していって日足レベルまでいった時に、自分のエントリーは妥当なのか判断する。
こうすることで無駄と過剰取引は圧倒的に省けます。
トレード回数
トレード回数は次に紹介するリスク許容度と並んで、オーバートレードにはかなり有効です。
具体的にはズバリ、1日の最大トレード回数を決めてしまうこと。
あくまで最大なのでそれ以下に収まる分は問題なしです。
シンプルですがすごい防げます。
リスク許容度
こちらもトレード回数と同じくかなり有効です。
具体的には、「金額」で制限をかけるか、自己資金比率の「%」で制限をかけるか。
1日でも1週間でもいいのである一定期間を決める。
次にその期間内での損失を「〜円以内」か「ー
%」かで決める。この2つですがかなり効果的です。
以上3つの項目で何か一つだと心もとないので、最低2つは取り入れられていることを確認してみてください。
意識してみるときっと効果的なのがわかると思います。
「勝てる/負ける/待つ」ができてこそ、
そもそも機会損失ってなんで起こるのか
機会損失がなぜ起こるのか。
チャンスを逃した努力不足だよ。と昔も私は思っていました。怠惰極まりないなと。
しかし、これは少し違います。
そもそも「エントリーのチャンス」がなぜ起こっているのかを考えるのです。
それは「自分の手法」を作ったから、それに対する相対的な「チャンス」が生まれているのですよね。
魑魅魍魎な相場の世界に対して、Aさんからすれば大したことない値動きでも、Bさんからすれば絶好のエントリーポイントとなるわけです。「手法」というものさしを持ったおかげで。
よって、今、逃したと思っているチャンスも角度を少し変えるだけでチャンスでなかったり、本当に真のチャンスだったりするわけです。でもトレードが利益を出せる段階まで極まっていない時空では、以下のような負の連鎖が続きます。
見るものすべてチャンスに見えてくる❶
→チャンスを逃しまくっていると感じてしまう❷
→そして努力不足を嘆き、さらにチャートにしがみつく❸
→そしてまた、淡いチャンスを逃す❹[❷に戻る]
このループから抜け出すためにも、機会損失は必須なのです。
チャンスを逃しているけど資産は変わらないからそれで良し。次の精度を上げる。
チャンスを逃さないように努力するのではなく、次の「絶好の」チャンスまで待てる努力。
これが本当に大事です。
チャンスを逃した努力不足より、絶好のチャンスを待てる努力不足なのです。
まとめ
トレードを行うのであれば、必ず結果が伴います。
ですがそれは必ずしも、「勝ち」「負け」の2択である必要はないのです。
チャンスが怪しい、なんかメンタルが不調気味。そんな空気を感じたなら、「待つ」という選択があることを忘れてはいけません。機会損失が怖いのはわかります。でも機会損失をしても自分の資産は変わらないです。いいじゃないですか。そしてそもそも、機会損失なんて案外、想像を超えるレベルで頻繁に起こっていると思っても過剰ではないです。自分の意識が向いている範囲での機会損失は目に見えます。しかし、無意識のうちに見えない範囲の機会損失を私たちはしまくっています。気づいていないだけで。
相場というのは可能性に満ちています。チャンスに満ちています。
ですから一つでも多く拾おうと必死になるのはわかります。
でも、そのチャンスを逃したくらいで先々、無限に広がるチャンスは無くなったり、減ったりしません。
全てを拾おうとするから、結局一つも残らず損失に終わる。人生と似ていますよね。笑)
この記事を通して機会損失について触れてきましたが、いかがだったでしょうか?機会損失とうまく付き合うことがトレードのメンタル面での安定にはすごく大切で、ひいては損益に直結します。
皆さんが少しでも機会損失に慣れていただければ幸いです。そして機会損失の壁を超えていってください!
最後まで読んでくださりありがとうございました。