FXと時間帯【癖と特徴をわかりやすく解説!】

目次

三大市場とは?

取引時間という観点でいうと、FXは24時間取引できます。ですがその中でも特に取引が活発になる時間帯、つまり流動性が高くなり値動きが比較的活発になる時間というのが存在します。

その時間帯というのが以下3つ。

東京時間 → 8:00~16:00

ロンドン時間 → 15:00~26:00

ニューヨーク時間 → 21:00~翌朝6時頃

この時間帯の間に経済指標の発表や、要人発言など、相場を動かす要因や、イベントが発生します。

そしてこの3つの時間帯それぞれの中で、各々の株式市場が開場する以下の時間帯がより活発な取引時間となります。↓

東京市場 → 9:00~15:00

ロンドン市場 → 17:00~25:30 [16:00~24:30]

ニューヨーク(NY)市場 → 22:30~翌朝6:00 [21:30~翌朝5:00]

 []内はサマータイムです。

また、市場の世界にもサマータイムが存在しているため、3月の第2日曜日(米国時間)から11月の第1日曜日(米国時間)は冬時間よりも1時間早まったスケジュールとなります。

そして、この三大市場でも最も相場が動きやすいのがロンドン市場とNY市場です。私自身略すのが好きなので、LN・NY市場と言ったりします。この2つの市場はとにかく取引量(出来高)が多いので、仮にいくら他の時間帯で強いトレンドが発生していても、「長い物には巻かれる」といった感じで大抵の値動きは巻いていってしまいます。よくあるのが東京市場でトレンドが発生していたのに、LN市場が始まった途端最初の10分ちょっとで全戻ししたなどというボラのある動きです。

ちなみに取引高(出来高)でいうと、ロンドン市場がナンバーワンです。「東京<NY<LN」といった出来高の配分です。

このため、デイトレやスキャルピングをする方は、できたらロンドン、できなかったらNY市場で時間を決めて取引すると良いでしょう。(リアルタイムで成行注文のみで行なう場合)

魔の時間とオセアニア

さて、上の見出しで少し取引量(出来高)の話をしました。この取引量が最も増加する時間帯がLN・NYでしたが、今度は最も低下する時間帯に焦点を当てます。

それが魔の時間とも呼ばれるNY市場が終わり東京市場が始まるまでの時間帯。早朝6時頃〜8時頃です。

この時間帯はオセアニアの市場は開いてはいるのですが、取引量はものすごく少なめで流動性が極端に低下しているので、不自然な動きをしたり、フラッシュクラッシュのような急激なレートの動きを見せたりします。ちなみにこのフラッシュクラッシュというのは、2019/1/3に起きたドル円の悲劇です。()早朝のまさにこの魔の時間に一瞬で約400pipsの急落。今ではこの時期になる度に「今年もフラッシュクラッシュはあるのか?」なんて囁かれるようになりました。

流動性はFXにおける大きなリスクの一つに入る重要項目ですので注意が必要です。

流動性リスクについてはこちらFXの7つのリスク

オープン・クローズの思惑

為替市場にオープン(開場)やクローズ(閉場)はないのですが、連動性の高い株式市場に合わせて、値動きが活発になる時間帯について冒頭で触れました。この見出しのオープン・クローズとはまさに、一番動く三大市場の閉開場についてです。

誰しも必ず、ポジションを持てば「手仕舞い」がありますよね。となるとデイトレーダーであればその日の市場が終わるまでにほぼ必ずポジションを手仕舞う動作、つまり決済注文を行わなければいけません。もう勘のいい方はお分かりかと思いますが、オープン・クローズにまとわる思惑というのは以下の通りです。

市場オープン時・・・「新規注文」が多めのため、トレンド方向に伸びやすい

市場クローズ時・・・「決済注文」が多めのため、トレンドとは逆に動きやすい

つまり言い換えると↓

市場オープン時・・・順張り方向に伸びやすい

市場クローズ時・・・逆張り方向に伸びやすい

ここで注意したいのが、逆張り方向です。順張りの場合は高安値を基準に損切りしやすいです。しかし、逆張りは損切りが曖昧になりやすく、優位なクローズ間近の時間帯だからといって、損切りをおかず下手に逆張りをすると痛い目をみる時があります。なので、しっかり損切りはおきましょう。

まとめるとスキャルピング、デイトレードの方は市場のオープン・クローズに注意しながら取引を行うと優位なトレードができる場合が多いです。

週明け・週末・月末フロー

週明け・週末の値動き、つまりは月曜日と金曜日の値動きについても癖や特徴と言えるべきものが存在します。

ここでも市場のオープン・クローズの時と同じく、週明けには新規注文が多いため順張りがしやすく、週末には決済注文が多いため逆張りが優位な時があるという特徴が該当します。その他にも、取引出来ない土日を挟むことから様々な癖や特徴が生まれてきます。以下にまとめました。

週明けの特徴

・新規注文が多いため、順張りがしやすい

・上位足のテクニカルが効きやすい

・複雑に指値注文が入り組んでいないため、レートが軽い

・ショック相場が起こる可能性がある

週明けはスイングの方のポジションも新規である場合が多いので、その分順張りや値動きが加速するときはしやすいです。イメージとしては、「活力に満ちあふれている相場」といった感じです。なので、土日に何か大きなニュースがあったり、週末に大きなポジションの偏りがあったりすると、ショック相場も起きやすいのです。

週末の特徴

・決済注文が多いため、逆張りがしやすい

・ショートカバーやロングカバーで焼き尽くされることがある

・指標で乱高下しやすい

・土日に持ち越したくない投資家心理が働く

週末のポイントは、まさに「土日に持ち越したくない」という投資家の心理です。これがあるので、決済注文が比較的多めになり、「トレンドが発生した!」と思ってもすぐに戻ってきたりすることが多いように感じます。また、決済注文を逆手にとってショートカバーやロングカバーが起こり、「焼き尽くされた・・・」となることもしばしばあります。これらのカバーが終わった後で引けている時は、上位足次第で強いトレンドが発生するシグナルでもあるので覚えておきましょう。

そして忘れそうになっていましたが、月末フローについてです。

月末フローとは単純に週末要因のさらに強化バージョンだと思ってもらってOKです。呼び方も「月末リバランス」ともいったりします。ここでポイントとなるのが、機関投資家や、大手企業、長期投資家のポートフォリオの調整です。主に関係する通貨はやはり基軸通貨である米ドル。輸出入の決算の関係だったり、ポートフォリオの調整がどう動いたり、というのははっきりいって、個人投資家である私たちには判断材料となる情報が少なすぎる、というよりかは複雑すぎるため、実際のところ「今月のフローはドル買いなのかドル売りなのか」というのは動いてみないとわかりません。また両方ある場合もあるため、月末は乱高下しやすいとも感じます。

そして、月末フローの最たるものが「ロンドンフィックス」です。

ロンドンフィックス

ロンドンフィックスとは、英国のロンドン市場において金融機関の対顧客向け外貨取引の基準レートを決める行為のことをいいます。簡単にいうと、海外旅行などの際の「いくらで外貨に両替できるか」を決めることです。通常、ロンドンフィックスはロンドン時間の16時、日本時間だと夏時間の24時、冬時間の25時に行われます。そのため、この時間までに様々な思惑が飛び交い、値動きが激しくなるのが大きな特徴です。私自身も今はそうでもないのですが、ロンフィクを初めて知った頃は必ず1時間前からガッツリとチャートに張り付いていました。笑)

また、ロンフィクが主に意識されるのは月末、四半期末、年末です。ロンフィク自体はほぼ毎日ありますが、先程の月末フローの特徴を兼ねてこの3つが主に意識されるようです。

値動き自体の特徴としてはロンフィクの「前」と「後」とでまとまった流れやトレンドが発生したりすることが多いように感じます。前後を統一して眺めるとやはり乱高下といった感じです。

ゴトー日・窓開け

ゴトー日

対顧客の為替レートを決めるという点で、ロンフィクと同じ属性にあるのがこのゴトー日です。

ゴトー日とは毎月5日、10日、15日、20日、25日、30日のように5と10の付く日をいいます。企業銀行の決済が多くなるため、どちらかというとドル買い需要が高まる傾向にあります。

このゴトー日で主に意識される時間が東京時間の「9:55」です。この時間に「仲値」を三菱UFJ銀行が決定します。仲値とは銀行が決定する、その日のうちの外貨交換レートのことです。為替相場自体一日中動いているので、例えば旅行に行くための両替をする際に「さっきは1ドル101円で買えたのに、なんか急に102円になった。」とかは困りますよね。そのための「仲値」を朝9:55に決めるのです。

仲値自体もロンフィクと同じく毎日行われますが、特にゴトー日に影響が顕わになりやすいのです。また、ゴトー日の中でも決済の思惑が働くという観点から、特に金曜日は効きやすいというような説もあったりします。

ゴトー日トレードの流れとしては以下の通りです。

❶だいたい9:30~9:55に向けて、円安ドル買い傾向がみられるためロングで入る

❷ 9:55~10:00を境に反転の兆しが見えたらショートで入る

肝心なことを最後に言いますが、ゴトー日自体は日本の風習のためドル円のみでトレードするのが基本です。

窓開け

窓開けとは、ローソク足とローソク足の間に空間が生じることをいいます。

上のチャートは直近のドル円のものです。

窓開けが起こるのは9割が週明け月曜日の早朝、残り1割が指標発表時やその他の要因と覚えておいてOKです。週明けになぜ窓が開くかというと、本来ならFXは土日休場ですが、この土日でも中東圏のバーレーン市場では為替が動いており、土日の間にファンダメンタル的に重要なニュース等が起きたりすると大きな値動きが発生し、結果として金曜の終値と乖離した状態(窓開け)で月曜の始値がスタートするからです。

また開いた「窓」は、体感的に7〜8割くらいは閉じるものなので、窓を埋めようとするトレーダーと窓が開いた勢いでさらに順張りを仕掛けるトレーダーとで様々な戦いが繰り広げられます。

窓埋めトレードを行う際は、月曜のFX市場がスタートする時間、つまり夏なら6:00、冬なら7:00にはトレードできる準備をしておくことが必要です。

NYカットオプション

こちらもロンフィク繋がりでイメージしてもらうとわかりやすい特徴の時間帯です。特にこの「時間の前後をめぐって様々な思惑が飛び交うため、値動きが活発になりやすいところ」がポイントです。

NYカットオプションとは、米ニューヨーク市場での通貨オプション権利行使の期限時刻のこと。日本時間でいう深夜24時(夏時間は23時)に権利を失うため、この前後で様々な思惑が飛び交い、荒れやすいのが特徴です。

NYカットオプションについては別記事で詳しく解説します。

指標発表の時間帯

長くなりましたが最後です。指標発表の時間帯については主にFX会社やFX情報サイトで毎朝確認するのが基本です。毎朝でなくとも少なくとも週初めに一週間分確認したり、寝る前に翌日の分を確認するなどして完全に把握しておきましょう。

ちなみに私がチェックしているのはこちらです FX重要経済指標直前通知システム

どの指標が重要なのかは後日別記事で解説します。

今回は主に指標発表の時間帯における特徴と、注意点をまとめました。

値動きの特徴

・重要指標前は、値動きが収束傾向にある

・見るからに収束しているものは、発表時に大きく動くことが多い

・重要指標前に決済しておきたいという思惑が働く(市場クローズの思惑と同じ)

・指標発表直後は「乱高下」か「強いトレンド発生」が基本

・サプライズがあれば尚更だが、基本は発表時にテクニカルは効かないことが多い

・同時刻に複数の指標がある場合はテクニカル優位になりやすい(思惑が複雑なため)

指標発表はファンダメンタルの領分ですが、動くべくして相場は動いているのでテクニカルと併用すると、各々の指標の意味や投資家の心理がわかりやすかったりします。

注意点

・上がるか下がるかに賭ける「ギャンブルトレード」はしない

・損切りは迅速に行う

・重要指標発表後少なくとも30以内はスキャルピング以外しない

・約定拒否(リクオート)に注意する

注意点の中でも重要なのが、最初と最後です。よく初心者の頃は、指標で大きく動くのをハイレバでギャンブルのようなトレードをしたりするのですが、ほぼ100%最後は負けて終わります。当たり前と言えば当たり前ですが、勝ってやめるなんて普通の人間なら出来ないからです。途中で運良く勝てたとしても、負けるまでやり続けてしまうのが性です。そもそもギャンブルトレードというのは、FXを投資として取り組んでいるルーツから大きく逸脱していますよね。

「リクオート」というのは値動きが速すぎて、自分の注文価格より大幅にレートがズレてしまい、注文が入らない状態のことを言います。主に指標発表時に起こることがほとんどなので、下手にハイレバで指値を入れたりするのは危険です。注意しましょう。

まとめ

断片的ではありますが、基本的な「時間」にまつわる値動きの特徴を把握できたでしょうか?

FXの24時間取引というのは取引が可能というだけで、実際には三大市場の時間帯であったり、指標時間に配慮をしたり、ロンフィクやゴトー日、オープン・クローズの思惑を活かしたりなど、「時間の選び方」一つ切りとっても様々な色があります。

本記事を参考に、為替市場での優位な時間の向き合い方の基礎の部分をしっかりとマスターしていただけたら幸いです。

最後までお付き合いくださりありがとうございました!

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この記事を書いた人

FX歴5年目の現役FXトレーダー。10000時間以上相場と向き合った経験と知識を発信中。FXで生き残るためのインプットがこのサイト1本で完結するような、“勝ち組の終着点(=ターミナル)”を完成させることを信念としている。

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