正当化と肯定性の偏りについて。【FXにおける認知バイアスを克服する❹】

FXにおける【認知バイアス】を制覇するシリーズの❹です。

認知バイアスというのは具体的には人間の本質的な心理状態から生じる、認識の歪みのことです。

認知バイアスを制御したからといって勝てるようになるわけではないですが、無駄な負けを減らす上ではとても重要なものです。

本記事は以下のような悩みや問題点をもった方にお勧めです。

・トレードの反省をしていると自己正当化による誤りが多い

・自信家だがいまいち結果が出ていない

・エントリー後に根拠を増やしている

・エントリーしても自分の根拠に自信がない

・トレードまでの下調べがやたら長く感じる

自分を客観視することで見えてくるのが認知バイアス。その存在を知っておくだけでも効果はありますし、常に頭の片隅で意識しておくことで正常な判断をしやすくなります。

今回は正当化、肯定性にまつわるバイアス計4本のボリュームとなっています。バイアスごとに特徴は違いますが、ざっくりまとめると同じような系統のものを寄せ集めてあるので読み進めやすく、インプットしやすい内容だと思います。

ではいきます!

目次

確証バイアス

1つ目は、【確証バイアス】についてです。

確証バイアスとは、簡単にいうと、自分にとって都合のいい情報ばかりを無意識的に集めてしまうバイアスのことです。

まず最初に、「自分はけっこう思い込みが強い方だ」という人はかかりやすいことを注意喚起しておきます。

例えば、今ドル円が上昇トレンドを継続していて、Aさんは【買いポジション】を持っていたとします。Aさんは今回の上昇トレンドはある程度続くだろうと思っていたため買いでトレンドに乗ることができ、一安心しています。そんな中、この安心感を守り抜くための潜在意識が働き、SNSやニュース等で「ドル円が売りになるような出来事がないか」と常に目を光らせています。「批判材料」を探しているつもりでも無意識のうちに「ドル円が買い」になるような記事やニュースを見つけては「よしよし!」と思い、結局「売り材料はなかった」という認識に至り、【買いポジション】を持ち続けていました。しかし、NY市場がスタートするとともにドル円は何故か下落を始め、ここでAさんは「おかしいな」と思います。でもドル円の売り材料となるニュースはなかなか見つからず、結局ズルズル下落して損切りするにできず、本来のトレードより損切りが遅れてしまいました。

これは確証バイアス以外にも後で説明する正常性バイアスや、情報バイアスも関わってそうな例です。

端的にいうと、確証バイアス自体は自分が下した決断をより正すため、そして「確信・確証」という安心感を得るために働いてしまう心理状態の偏りです。

誰しも常にヒヤヒヤしながらトレードなんてしたくありませんし、場慣れしていない初心者の頃なんてひたすら真面目に為替情報をネットサーフィンしてしまいますよね。

ですがこれらの行動自体が、「安心感」を得るためのものだなと気づいたらこのバイアスにかかっている可能性は高いので注意です。

対処法として、情報判断を常に表と裏の2局面から行うことです。

自分がドル円の【買いポジション】をもっているのならば、「買い」と「売り」の情報2つを探す努力をするということです。しかし、確証バイアスにかかっていると、この時点で買い情報を優先的に探してしまっているため、逆の情報「売り」に力を入れて情報収集すると意識しておくと影響を受けにくくなります。

正常性バイアス

2つ目は、【正常性バイアス】です。

正常性バイアスとは、ちょっとした異常事態が起きても正常の範囲内だと判断し、いつも通り大丈夫だろうとリスクを過小評価してしまうバイアスのことです。

例えば皆さんが体験し得る日常生活でのものとして代表的なのが、「地震」があります。震度がいくつかという情報が気になるのはともかく、地震が起きた瞬間は少しビックリしますが、「今回も大した事ないだろう」という謎の安心感が少なからずありますよね。これの正体が、まさに正常性バイアスです。

異常事態でありつつも、その中で本当の異常事態になる確率は極端に低いことから、リスクを過小評価してしまう。そしてこの正常性バイアスが引き起こす最大の弊害は、「対処が極端に遅れること」です。

FXでいうと、突然の急落が起こっているのにも関わらず「この水準からさらに下がるのは年に一回あるかないかくらいだろから、今回も大丈夫だろう」と正常性バイアスがかかり、結果損切りが遅れ、大きな損失や退場につながってしまいます。

私自身も最初の頃は本当によくかかりました。。

今回は、、今回だけは、、大丈夫だろうと。

そしてバツが悪いことに、その中でも何回かは「今回だけ」相場が通用してしまうから恐ろしいんですよね。

その誤った成功が癖となり、結局最後は資金を溶かしに溶かし切って「今回だけ、、はもう二度とやらない」と誓う瞬間までズルズル悪霊のように付き纏ってきます。

後知恵バイアス

3つ目は、【後知恵バイアス】です。

後知恵バイアスとは、その名の通り、後になってから「やっぱりそうなるよね。」と前もって予想できていたかのように解釈を書き換えてしまうバイアスです。

例えば、ユロルをトレードしていたとして、今の状況から上がる状況も考えられるし、下がるような状況もなくはない、でも曖昧だからそのままにしておこう、とノートレを貫いていたとします。しかし、NY市場の経済指標を経てユロルが爆上げしたりすると、「やっぱり上がるよなあ。。なんでロングしてなかったんだろ。。」とあたかも上がることが予想できていたかのように反省してしまう。わかっていた気になってしまう。

これが後知恵バイアスの代表的なパターンです。

「わかった気になってしまっている」というのが案外気付きにくく、罪深いところですよね。

これがあると、あとあと反省しようにもなかなか本当の原因に辿り着けないことが多く、最悪の場合、反省によって更なる誤った解釈を生んでしまう可能性だってあります。

対策としては、トレード判断に用いた根拠を常に書き留めておく。

自分のトレードや取引手法が確立している人にとっては不要かもしれませんが、はじめたての初心者の頃などは特にこの方法は効果絶大です。根拠の確認により、バイアスにかかりにくくもなりますし、トレードの反省もできる、そしてあわよくば新たに手法を作り出す可能性だって秘めています。

情報バイアス

4つ目は、【情報バイアス】についてです。

これはFXに限らず日常的にも最もかかりやすいものです。

情報バイアスを簡単に説明すると、情報収集のやりすぎにより自分の判断を正しいと思ってしまうバイアスです。

情報に満ち溢れている現代では、何かことを起こすのには大抵そこそこの情報収集をしていくと思います。イメージしてもらうとすぐにわかる通り、5分間だけ情報収集したのと、30分情報収集したのとでは、ほとんどの人が後者の場合の方が有力だと考えてしまいますよね。

実際のところ確かに時間が長い方が「有力な説に近づける」と思えてきます。なぜなら私たちの心理の根底には「情報が多いに越したことはない」という暗黙の了解があるからです。

しかし今一度立ち止まって考えてください。

情報は多ければ多いほど本当に良いのでしょうか?

極端な例ですが2つの情報を取捨選択するのと、20個の情報を取捨選択するのとでは情報収集の時間も分析の時間も、意思決定の時間も全てにおいて10倍の労力がかかりますよね?

でもここで「20個の情報を判断するのは2つの情報判断の“10倍も”かからない」と思う人もいるのではないでしょうか?

これが情報バイアスの罠なんです。

情報は本来、集めて、判断して、行動に移すためにあります。しかし、情報に溢れている現在では、情報を集めるのに必死でその先の情報分析や判断、行動への活かし方が極端に鈍ってしまっているのです。そのため、集めるだけ集めたのはいいけれど、その集めた充足感により自己肯定感が増してしまい、結局は20個の情報を判断しているようで2〜3個の情報判断にしか脳みそが動いていないなんて状況は私たちが思っている以上に多いと思います。

むしろ余計な情報が多いがために、2つの情報判断の時の方が明晰な回答が出せるなんてことも極端ですが十分あり得ますよね。

私たちは情報を集めるのが目的ではなく、真実にたどり着くのが目的です。

しかし、真実なんてものは案外調べに調べてもでてこないことが多いものです。情報収集は、人間にとって「わからない」という不安を取り除いてくれる安心材料かもしれませんが、適正量を超えると、有害になる確率の方が高くなってきます。

ましてや、FXの世界なんて特に不確実性に満ちた世界なので、どれだけ情報を詰んだとしても「確実」に辿り着くことは不可能です。そして、その情報収集に割く時間と労力を削減していかない限りは、FXがとてつもない日々の重労働になってしまいます。それでは続けられなくなってしまい本末転倒ですよね、、

情報バイアスへの対処としては、情報収集する時間や量を制限することである程度緩和できます。

例えばいつもSNSと為替ニュースをチェックしているのならば、経済指標時や重要なファンダメンタルの時だけに情報収集をするなどの対策が考えられます。

正直なところ、FX自体、情報は多いどころか少ないに越したことありません。笑)これは何故かというと、一つの情報に対して常に表の目線と、裏の目線が存在するからです。表の目線はその情報をシンプルに活かそうとする目線。裏の目線は表の目線で行動しようとしている投資家を損切りに追い込もうとする逆の目線。こうなると、ただでさえ「確実」は存在しないのに、情報が一つ増えただけで目線が2つ余計に増える、しかし不確実性は変わらないままなので蛇足の極みですよね。

以上のことから、情報は絞るに越したことありません。テクニカル分析での環境認識はしっかり情報網羅が大切ですが、、

まとめ

これで本記事の正当化と肯定性にまつわるバイアス4つを制覇です!

バイアスは究極、「バイアスにかかっているな」という意識が働くだけでもずいぶん思考はクリアになります。

一つ一つがまだ馴染みない方も、嫌というほどかかりまくっている人も、ぜひこの際まとめて全部克服していきましょう!

クリアでシンプルな思考の積み重ねがトレードには不可欠です。

皆さんのご健勝を心よりお祈りしています。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

FX歴5年目の現役FXトレーダー。10000時間以上相場と向き合った経験と知識を発信中。FXで生き残るためのインプットがこのサイト1本で完結するような、“勝ち組の終着点(=ターミナル)”を完成させることを信念としている。

目次