複利運用と聞くとどんなイメージを皆さんはお持ちでしょうか?
「単利よりすごいやつ!」「よく聞くけど難しそう、、」「高校で習った!」等々色々なイメージがあると思います。私自身も複利の存在を知ってからはその威力については十分理解していたつもりでした。。
しかし、複利を本当の意味でうまく使いこなせるようになったのはつい今年に入ってからのことです。なぜならば「複利」や「複利運用」とスマホでググってみても、めっきり良いことしか書いてありません。というかデメリットを探すのに苦労しますし、真のデメリットといえる情報には辿り着けなかったからこそ本記事を書こうと決意しました!
本記事は以下のような人にお勧めです。
・複利運用の本質的理解をしたい人
・複利運用を理解で終わらせず使いこなしたい人
・複利運用で損している人
資金管理に関する記事として超超超有料級の情報がデラックスパックなので、最後までぜひ目を通してみてください!
複利運用の一般論
複利について
ではまず複利について0からスタートしていきます。
そもそも複利とはなんなのか?以下にまとめました。
単利・・・【投資元本】に対しての利益
複利・・・【投資元本+今までの利益】に対しての利益
わかりやすいイメージとしては冬の雪景色の中で遊ぶ子どもたちをイメージしてください。雪の塊をペタペタ持ってきて積み上げるスタイルが単利運用、雪の塊をコロコロ転がして雪だるまを作っているのが複利運用です。ペタペタ持ってくる場合は一回で積み上げれる量は一定で、子どもの両手にのる分しか大きくできません。しかし、コロコロ雪だるまを作っていく場合は一回転で大きくできる量が回数を重ねるごとに増えていきますよね。
このように複利を選択する最大のメリットは長期的な運用になるほど、厳密には試行回数を増やすほど桁違いの量が増加していく点です。
よくある資産シミュレーション
「72の法則」
皆さん一度は聞いたことあるんじゃないでしょうか?自分の元本が2倍になるのにかかる歳月がわかる法則です。一般には以下のような計算式です。
72÷利回り=元本が2倍になるのにかかる歳月
例えば平均で年利6%の金融商品があったとします。そこで72の法則を用いて「72÷6=12」。つまり年利6%で運用する際には複利で運用すると12年後に元本が倍になることがわかります。
しかしながらこれはあくまで理論値であって、毎年コンスタントに同じ利回りを出すなんて不可能です。そしてこれが不可能であると同時に、複利運用の罠も存在しており、そのコントロールができていないと結果的には損をしてしまうのです。
昨今の投資ブームでは、様々な金融商品があり、それと並び取引業者、運用会社も本当に多いです。保険から貯蓄から投資から至る所に、「資産シミュレーション」が存在します。まだこれらの世界に入ってまもない頃は、皮算用に明け暮れる時期もしばしばありますよね。ですが投資の世界は本当にランダムで、そもそも利益を出そうと思って出る利益なんてほとんどないです。
そのシミュレーションの中でも一際目立つ「複利運用」。結論からいうと、複利は使いこなせれば無双です。ですがあまりにも世間のノウハウが薄いので、次の見出しから「複利の真実」を掘り下げていきたいと思います。
複利運用の真実
複利運用の真実を突き詰める前に、一旦ここでメリットとデメリットを把握しておきましょう。
複利運用のメリット
❶利益を再投資することで投資効率が高まり、複利の恩恵を受けられる
❷運用期間が長いほど単利との差が大きくなる
❸連勝、連敗に強い
メリットとしてはやはり、「複利効果」を得られることです。増えていく際に、同じ回数勝ったとしても複利運用と単利運用では歴然とした差があるのは事実です。もう一つメリットとして代表的なのは「連敗に強い」こと。例えば単利運用で【-30%】となる10連敗を被ったとしても、複利運用ならば「0.97^10=0.73」で【-27%】に軽減することが可能です。
複利運用のデメリット
❶長期間資産を動かせない
❷利益を再投資するのが前提
❸複利効果が得られない場合がある
❹勝った後に負けるとマイナスの複利効果が大きい
一方でデメリットとしては、ネックなところとして「資産が動かせない」こと。運用期間中は得られた利益は全て再投資に回すのでどれだけ勝っても口座から引き落とすのは複利運用ではなくなってしまいます。また、複利効果は「連勝した時にのみ」得られるものという認識が一般的に正しいので、ベースとなる運用成績が微妙だと複利効果は得られません。
さあ、複利の脳みそが出来上がってきたところで「複利の真実」に参りましょう!
複利の真実
細かくするほど複利メリット大
ランダムな資金増減に弱い
良い点、悪い点それぞれ1点ずつになります。
まずは良い点。複利効果は細かく区切れば区切るほど、より噛み砕いていえば、回数を増やせば増やすほど効果は絶大なものとなります。例えるならば、10歩で渡れる横断歩道を100歩で渡るような感覚です。10歩で渡った時よりも、100歩で渡るときの方が、同じ幅を渡っているのに、FXなら同じ利幅をとっているのに得られる利益は大きくなります。その効果の差を実感してもらうために以下の表を用意しました。
ご覧のように同じ100%が増減する過程でも、50%ごとで区切って計2回の複利計算をする場合【+125%】よりも、1%ごとで区切って計100回の複利計算をした場合【+170%】の方が複利運用の実力が明らかですよね。1%の増加率で複利計算をし100%増やしたとすると、実際には170%も増えていることになるのです。驚きですよね。。
これが+100%と言わず、+200%ならば「2.7×2.7」というように指数関数的に利益が増えていくのが複利の財産です。
さて、ここまで聞くと複利はとてつもなく恐ろしくすごいものだと誰しも思いますよね?
でも実際のところこれだけの複利のメリット、理論値を活かしきれている人はごくごく少数だと思います。
それはなぜかというと、複利運用の最大の弱点、「ランダムな資金増減に弱い」という点に対応しきれていない人が大半だからです。先程の表で複利運用の増加率のお話を取り上げましたが、あえて減少率の優位性については言及しませんでした。それはなぜかというと、実際には-100%減る過程で上の表のように「36%」なんて資産は残らないからです。
ではランダムな資金増減とは一体何か?を詳しく紐解いていきます。以下にまとめました。
ランダムな資金増減
増えてから減る
減ってから増える
書いてしまうとすごく単純なことなのですが、「複利の強み」は連勝連敗に強いことです。そして裏を返すと、連勝連敗以外のパターンで複利は弱みを生んでしまうのです。具体的にどういう感じかというのを下図を使って解説していきます。
これはよくある「3勝1敗」のトレードを複利・単利でわかりやすく比較した図です。資金管理は一定で「10%」にしてあります。同じ3勝1敗なのに単利運用の方が最終的な残高は多く残っていますよね。図の❶〜❹の中で複利が不利に働いているのは「❷と❸」です。❹で有利に働いていますがそれでも尚、単利の方が多い現実、、
❷は「増えてから減る」パターンで、❶で資産が大きくなった分マイナスも大きくなり結果として単利より損をしてしまいます。こちらはよく見かける複利のデメリットですよね。しかし、本当に注目して欲しいのは次の❸です。
❸は「減ってから増える」パターンで、❷で資産が小さくなっている分勝った時の利益も小さくなっています。具体的には単利であれば「+¥1,000」のところ、「+¥990」にしかなっていません。ここがなかなか複利で資産が増えていかないという運用の落とし穴なのです。
また、これら2つのデメリットは資金が元手に対して大きく変化していればいるほど、大きくマイナスに働きます。そして、試行回数を増やせば増やすほどマイナスの効果が積み重なり結果として利益を蝕んでいくのです。。
以上が複利の真実です。
実際の相場でも、自分の資金増減についてでも、「レンジは7割」だとか、8割だとかいうように、連続して起こることよりも、ランダムに起こる無作為な現象が圧倒的に多いです。この点から見てもこれら複利の真実をわきまえた上で、適切な対処をしつつ運用しなければ、味方としてつけていた複利運用が実は敵になっていたということになりかねません。
そこで!そのために、この記事があるのです。
安心してください。
私だって伊達に10000時間、FXと向き合ってきたわけではありません。笑
では複利運用を「実用化」するためにどういった対処法で戦っていくのかをここからアプローチしていこうかと思います。
複利運用の実用化
勿体ぶっても仕方ないので結論からいきます。
結論、複利運用の実用化にあたっては以下2通りの対処法が有効です。
複利運用を実用化へ
・勝ち上げ
・ユニット固定
何それ?となる方が多いと思いますがこれらは私自身が勝手につけた呼び方なので気にしないでください、、
ではまず「勝ち上げ」について。これはもっとも単純なことなのですが、複利運用を行う際に、「資金が増加したらロットを再計算する=資金が減った場合は計算しなおさずロットは大きいまま」というものです。要は勝って増えた分、自己資金が高値を更新中の時のみ複利計算をし、負けて減っている時は計算しなおさずに単利運用のままというものです。勝ってロットを上げることのみをするので「勝ち上げ」としています。これを聞くと、減っていく時は一番大きなロットで調整してあるので怖いと感じたり、危険と思う方もいると思います。むしろ勝って負けるデメリットの方が大きく映ってしまう人も多いかもしれません。しかし、複利運用を最初に行う時の条件とロットを最高値で調整した時の状況は何も変わらないはずですよね?きちんと自分のトレードの長所、短所を踏まえた上でこの対処法をこなせればいくら負けている時の金額が大きいからといって損はしません。なぜなら、少し話が蛇行しましたが、この「勝ち上げ」は複利の弱点であるランダムな資金増減の「減ってから増える」を攻略したものになるからです。実際にこの方法で「3勝1敗」の図を再度比較してみると以下のようになります。
ご覧のように最後は「勝ち上げ」が一番多いですよね。❷と❸でのデメリットを克服し、❹の本来の複利の力を発揮できているので単利よりも大きく利益を残せています。まさに単利と複利の絶妙なコラボがこの図一つとっても垣間見えますよね。何度見ても惚れ惚れするバランスです。笑
そして次に「ユニット固定」について。ユニットには「単位」という意味があります。その単位はここでいうと複利計算をし直す頻度や段階のことを指します。そうです。複利計算を行う段階を一定の単位で固定するので「ユニット固定」としています。例えば「10%ごとに複利計算をし直す」「20%ごとに複利計算をし直す」といった感じです。具体例は以下のようになります。
上図のオレンジは複利計算をするタイミングを示しています。
「20%固定」ならば「¥12,000」「¥14,000」「¥16,000」というように元手の¥10,000に対して20%ごとの等間隔で複利計算をし直していく。「30%固定」「50%固定」についても同様でそれぞれ等間隔で複利計算をし直します。これを行うことで本来ならば複利の弱点である「ランダムな資金増減」の局面で資金を減らす効果をかなり軽減することができるのです。
FXをはじめたての頃によく「2倍になったらロットをあげよう」とか、「1.5倍で複利計算しよう」とざっくりの複利運用をしていた方も多いと思います。が、これが案外理にかなった運用方法だったのです。。灯台下暗しとはこのことですね。
でも、原理を知っていて行っているのと、そうでないのとでは「継続力」に差が出てきます。何事もそうですが、信念のない行動はそう長くは続きませんよね。複利に関しても同じです。なので「固定ユニット型の複利」がなぜ有効なのかを知ってこそ、ぜひ、皆さんの運用に活かしきってほしいと思います。
最後に大切な条件
そして最後に「複利運用」をするにあたり一番大切な条件をお伝えします。
複利運用のみならずFXや投資をしているならば最低限抑えておかなければならない事柄です。
ここまでくるとわかる方はもうピンときているかもしれません。そうです。
「ドローダウン」の把握です。
自分が今、行っているトレード手法の最大ドローダウンはどれほどか。過去数百回、数千回のトレードを繰り返す中でどこまで資産が減っている可能性があったのか。また、自分の手法の勝率、RR(リスクリワード)から考えて理論上どれだけの確率でどれほどの資産の目減りが予想されるのか。
これら全てに明確な答えを出した上で「複利運用」を行っていること。これが最後にお伝えする最重要条件です。
検証や試行錯誤して全て把握するには、かなりの労力や時間はかかります。でも必要条件です。やるしかないのです。
ここが曖昧になっていると、複利運用は愚か、FXで勝ち続けるということは難しいです。
逆にいうと、ドローダウンさえ分かっていれば「複利」を最大限に活かし切ることが可能なのです。例えば、過去10年で数百〜数千回分のトレードを行い最大ドローダウンは「単利計算で30%」であったとします。この時1トレードあたり1%の許容リスクでトレードしているとすると、以下の2通りの戦略が考えられます。
・許容リスクを2%に上げる
・許容リスクを3%に上げる口座と、2%に上げる口座で分けて運用する
それぞれ最大ドローダウンを見越しても資産が底を尽きることはないですよね。万が一ドローダウンが拡大したとしても2%ならば余裕で持ち堪えられます。
このようにドローダウン、要するに最悪の状況が分かってさえいれば後のリスク管理はどうとでもなります。
以上で本記事の内容は修了となります。
いかがだったでしょうか?
「なるほど」「確かに!」と思った方はぜひ、ご自身の資金管理に活かしてみてください!
そして必ず、実践の前の検証や、デモトレードを忘れないようにしてくださいね。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
本記事が皆さんの複利ライフに貢献できれば幸いです。