チャートと自己視点【FXにおける認知バイアスを克服する❶】

FXにおける【認知バイアス】を制覇するシリーズの❶です。

認知バイアスというのは具体的には人間の本質的な心理状態から生じる、認識の歪みのことです。

認知バイアスを制御したからといって勝てるようになるわけではないですが、無駄な負けを減らす上ではとても重要なものです。

本記事は以下のような悩みを持った方にお勧めです。

・チャートを見るとすぐポジポジ病になってしまう

・色々分析しているはずなのにいまいち成績が伸びない

・チャートを見たときに負けるイメージより勝てるイメージの方が多いのに負けている

自分を客観視することで見えてくるのが認知バイアス。その存在を知っておくだけでも効果はありますし、常に頭の片隅で意識しておくことで正常な判断をしやすくなります。

ではさっそく、見ていきましょう!

目次

認知バイアス❶【アンカリング】について

まず本記事で対策をしていくのは【アンカリング】というバイアスについてです。

アンカリングとは簡単にいうと、物事を判断するときに最初に見た情報が強く印象に残ってしまい、その情報を基準として今後の判断をしてしまうというバイアスです。

例えば、何気なく休憩時間に見た為替ニュースで「ドル円が強い上昇を見せている」とか「金融緩和継続の円売りか」みたいなヘッドラインを一目見たとします。すると、無意識のうちに自分の脳内で「今日はドル円は買い目線」「買うとするならどこで買おうか」「買いのチャンスがあったら押し目買いを狙おう」という潜在意識が表面化します。この時点で、本来ならば自分の手法ではドル円は売りのシグナルであったとしても、買いのイメージに侵食されているためそのシグナルに気づかずに、最終的には「買い」で仕掛けてしまうというようなパターンが少なくないです。

この例はアンカリングの典型です。最初に触れた情報を軸に、今後の判断や行動が積み上がっていく。そして終いには正常な判断ができなくなってしまい、気づいたら損切りで反省したら「逆のエントリーポイントだった」という状況。

アンカリングが起こる主な原因としては「外部情報」と「最初に行った分析」があります。

まず「外部情報」についてです。

外部情報には、為替ニュースやSNSでの情報収集、トレーダー同士の会話などが挙げられます。朝一番に見るようなニュースや、スマホを開いて最初に目に付くニュースには要注意です。SNSで暇潰しをしているつもりかもしれませんが、アンカリングの宝庫なので気をつけた方がいいです。というよりもポジションを持つ時はあまりSNSは触らない癖をつけましょう。なぜならば、SNS等で有名なトレーダーや勝ち組トレーダーが想定しているポジション、シナリオ等が自分のものと逆であったしまいには、得することは本当一つも無いからです。ただただ疑心暗鬼な心理状況でトレードしなければいけない悪循環が増えるだけなのでやめておきましょう。

このように外部情報からなるアンカリングを脱却する方法は「外部情報の一時遮断」でどうにかなります。シンプルですが効果は絶大です。

次に「最初に行った分析」についてです。

言葉通り、最初に行った分析で導かれた結論に対してアンカリングがかかります。最初にチャートを開いて見た時の第一印象とも言えます。どちらかというと、外部情報によるアンカリングよりもこちらの方がかかりやすく気付きにくいのが特徴です。理由としては実際に、自分の時間と労力を割いて分析をしているからです。

例えば、テクニカル分析を入念に重ねた結果、ドル円が買い優勢であるため買い方向でポジションを拾うことに集中していたとします。ですがこの時日足で下落するテクニカルを見落としていたため、突然の急落が起きたものの、買いが優勢であったという判断が根強く残ってしまい結局買いを連発して損切りの嵐になる。というような状況。

再喝ですが、厄介なのは自分の分析が軸になっているため、なかなかアンカリングの存在に気づけない点です。そのため対策として、売買判断にたどり着くまでに自分が通った分析ルートを再確認する必要がでてきます。

では一体どのようにして、分析ルートの再確認を行い、アンカリングから脱却するのか?

次の見出しから解説していきます。

視点の増やし方

結論からいうと、アンカリングから脱却するシンプルな手段として【視点を増やす】ことが挙げられます。

視点を増やすとは、具体的に次の2つの項目で見ていくことを指します。

  • フラクタル構造やMTF分析での「上位視点」
  • 現状のチャートパターンから常に次のシナリオを上下2パターンで考える「上下視点」

上位視点について

まずは上位視点について見ていきましょう。

常に今の自分が認識している環境から、その上位構造はどうなっているのか?

これを追求することで「最初に行った分析」によるアンカリングを防ぐことができます。

また、上位構造を把握する際に気を付けることがあります。それは何かというと、「常に上位の上位」を把握する癖をつけることです。なぜならば、今の視点から一つ上位な構造を把握するだけだと、場合によっては最初のアンカリングが抜け切らない時があるからです。私自身の経験上、2つ上の上位視点を持つことでほぼ完全にトレードに必要なフラクタル構造の認識ができます。MTF分析を日常的に行なっている方は、そこまで特別なことに感じないかもしれませんね。

ただMTF分析の中でも、「今の視点から上位の認識をする」ということを忘れないでください。下位のフラクタル構造を把握しても、最初のアンカリングを深掘りするだけなので意味がなくなってしまいます。

上下視点について

次に上下視点についてです。

こちらは現状から常に上方向のシナリオと下方向のシナリオを両方必ずイメージすることです。

まず大前提として、どんなテクニカル分析を用いても、どれほど周到に分析したとしても、「その局面で正解は一つ」なんてチャートパターンは存在しないことを心に刻んでおいてください。

トレードがある程度上達してくると、「あ、このパターンがきたから次はこうだな!」と感じる時が多くなるため、上手くなればなるほどより注意が必要です。自己視点に囚われてはいけません。

常に「次」の展開は「上」も「下」もある。

これを無意識にイメージできるようになると、チャートを俯瞰でき、アンカリングにかからないのはもちろん、冷静で淡々とトレードができるようになります。

そして、上位視点でお話した「上位の上位」と同様に、「常に上下の上下」をイメージできる様になると最高です。

ただこちらは「上位の上位」とはイメージする数が異なります。

「上」のシナリオで次も「上」

「上」のシナリオで次は「下」

「下」のシナリオで次は「上」

「下」のシナリオで次も「下」

合計で4つのシナリオがありますよね。

現状から2手先まで見ていることになるのでかなり透明度の高い分析が可能になり、アンカリングにかかりにくい、、というよりはかかっていたとしても派生する4つのシナリオでアンカリングが修正されるような感じです。

以上が【上位視点】と【上下視点】による【視点の増やし方】です。

しかし、ここでお気づきの方もいると思いますが、視点が増えると今度は増えた視点に対して「あの」弊害が発生しやすくなります。次の見出しで対策していきます。

弊害と対処法

視点が増えるとどうなるでしょうか?

一見して探していたエントリーポイントが増えて見えますよね?

すると発生するのが、やはり「ポジポジ病」です。

今まで一つの視点で取引していたのが上位視点で2つ増え、上下視点で2倍になる。するととたん、チャンスで溢れかえっているように見えてしまう人も少なくありません。事実、相場はチャンスで溢れているのは確かなのですが、、すべて拾うことはできませんし、そもそも多くを拾う必要もないです。

そこで視点の増加に伴うポジポジ病の対処法として以下2点を推奨します。

・フラクタル構造を見る上で【最小の視点】を決める。

チャート自体を見る回数を減らす。

最小の視点

最小の視点は、取引のエントリーポイントとして用いる最小の時間軸のことです。

例えば私自身は、普段はH1レベルでのトレードをメインとしていますが、最小の視点はM15レベルと決めています。理由はデイトレードのエントリーポイントを探すのに適切だからです。

ただ先ほどの視点増加の話では「常に上位構造の把握」といっていたのを覚えているでしょうか?最小の視点の話をすると、「上位でしか視点は増えないのに最小の意味はあるのか?」と思いがちなので触れておくと、この最小が当てはまるのは最初に分析を行う時間軸、つまり冒頭のアンカリングがかかりそうな現在の視点に対して「最小」という位置付けをしています。

なんかこんがらがる説明でしたが、要は自分のトレードにおいての「最小の時間軸」を決めておくことです。

チャートを見る回数を減らす

これは言うまでもなく効果絶大です。

私自身も今でもたまにそうですが、トレーダーは常にチャンスを探し回る生き物なのでチャートを開くとエントリーポイントをついつい探してしまいます。改まって、今のチャートパターンを把握するだけと言う意気込みでチャートを開いても、エントリーがしたくなるのは仕方のないことです。

ならどうするか?

という問題へのシンプルな方法が、「見る回数を減らす」です。

人間の本性を変えるより、その本性とどう向き合い、どうコントロールしていくかの方が効率的なのは明らかですよね。

1時間に4回見ているなら、1時間に2回に。

1日に20回見ているなら1日に10回に。

いきなり半減は難しくても最初は1回ずつ減らしてみてください。

手法を確立しさえすれば、エントリーポイント探す時点で見る回数というのは少ない方が優位な気がします。

まとめ

まず手初めに攻略すべき認知バイアス、アンカリングについて解説してきました。

思ったよりも対策や方法はシンプルだなと思えていたらいい感じです。

あとはこれらの考え方、対処法を実践して繰り返して血肉化するだけです。

この記事から離れてチャートを開くその瞬間から、ぜひ意識してみてください!

最後まで読んでくださりありがとうございました。

本記事が皆さんのFXライフの対認知バイアスに貢献できれば幸いです。

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この記事を書いた人

FX歴5年目の現役FXトレーダー。10000時間以上相場と向き合った経験と知識を発信中。FXで生き残るためのインプットがこのサイト1本で完結するような、“勝ち組の終着点(=ターミナル)”を完成させることを信念としている。

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